瀬戸内・尾道では豪商や文人墨客が古くからお茶を楽しんだり、客人をもてなしたりする茶園がありました。ここ旧西山別館は瀬戸内海を望む芝庭園に点在する離れをもち、数寄を凝らした客室と茶室が文豪達の息遣いや文人墨客の優美な遊びを感じさせてくれる茶園です。単に旅館やホテルのサービスを超え、質の高い文化の営みや芸術への誘いを感じさせる空間であり、精神的な豊かさを与えてくれる現代の茶園、「尾道・日々是好日」を表現したデザインを目指しました。

建築年代の異なる建物と曳家をされた建物も含めて茶室付きの六棟の建物は、瀬戸内海に面し見越しの松や龍の松などの優美な松のある芝庭園に建てられています。
それらの建物は別荘風擬洋風建物、田舎風民家そして茶室付き数寄屋建物とバラエティで稀有な尾道の遺産建築として見応えのある建築群となっています。 今回は藁葺き建物の藁の葺き替えをはじめ、それぞれの建物の老朽化による雨漏れや害虫被害などの改修工事は、建築基準法に抵触しない範囲に抑え行い実施することにしました。
しかし今後の活用の継続に際して、改修工事は必然となり柔軟で適度な法律の解が求められます。

⇨四阿のあるレストラン 尾道西山別館

透き間・隙き間・数寄間のあるデザイン 〈SUKIMA DESIGN〉 

透き通る涼やかさや軽快さ。心地よく垣間見える視覚への配慮。職人が魅せる趣向を凝らした巧みな技。様々な空間で日本人の心を映すおもてなしの精神が織りなすデザインが全体の魅力をつくります。

透き間・隙き間・数寄間のあるデザイン  透き通る涼やかさや軽快さ。心地よく垣間見える視覚への配慮。職人が魅せる趣向を凝らした巧みな技。様々な空間で日本人の心を映すおもてなしの精神が織りなすデザインが全体の魅力をつくります 。

リユースが魅力をつくるデザイン 

改修工事の中で利用できる資材がたくさんあります。できるだけ資源の寿命化に努め再活用を行い、リユースされた価値が新たなものとして空間の中に位置付けることで新らしい物語を作っています。

光のデザイン

LEM長町志穂氏による照明デザインとインテリアのコラボレーションによるものです。柔らかな光の繭が建築全体を優しく包み込み、ひと時の癒しの空間を創り出しています。そして時には、光と影が建物の歴史と現代のフォルティッシモとなり脳裏に強い印象を残してくれます。

照明デザイン:株式会社LEM空間工房
撮影:下村康典